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こんにちは!もな(@mona5108)です。
5歳の女の子を育てながらフルタイムで働き、現在は第二子の育休を取得しています。
子育て世代の当事者として、より良い働き方を目指して、発信しています。
今回は、『マミートラック』について掘り下げてみます。
マミートラックは、ワーママのキャリアを語る際に、よく聞くワードの一つでもあります。
本サイトでも、過去に何度か出ています。
ワーママ・ワーパパは出世ではなく市場価値を優先していいのかもしれない
ことばの意味だけでなく、実態やワーママ(未来のワーママ含め)が気になるポイントを調査しました。
労働者側の目線でまとめていますので、ワーママのキャリアを考える上で、ご参考になれば幸いです。
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マミートラックの意味や由来について
マミートラックは、育児をしながら働く女性が、家庭を優先した働き方をすることで、昇進・昇格の機会が得にくくなる状況を意味します。
省略して、「マミトラ」と呼ばれることもあります。
ルーツは、1988年のアメリカで、英語でも”mommy track”と表現されます。
ワーキング・マザーの急増にもかかわらず保育環境が不十分であった米国で、フェリス・シュワルツ(1925-1996,NPOカタリスト初代代表)は1988年、女性の働き方を「キャリア優先」と「キャリア+家族」に分け、後者を望む女性に育児休業やワークシェアリング等の制度整備を企業に提案。これをジャーナリストが「マミー・トラック」と名づけた。
出典元:https://www.jawe2011.jp/cgi/keyword/keyword.cgi?num=n000241&mode=detail&catlist=1&onlist=1&shlist=1
日本でもたびたび話題になり、2022年2月には、『ミレニアル世代の半数近くが「私はマミートラックに該当する」と感じている』という調査結果が、日経新聞でも報じられました。
26~40歳の子育て中の女性のうち46%が、仕事の難易度や責任の度合いが低くキャリアの展望もない、いわゆる「マミートラック」に該当すると感じていることが21世紀職業財団の調査で分かった。
出典元:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD032NO0T00C22A2000000/
なお、こちらの調査では「産後復帰時の仕事の難易度や責任の度合いが低い」かつ「今後のキャリアの展望がない」との回答をマミートラックと定義しています。
この調査結果は、26〜40歳の男女4,000名強の声を反映したもので、大変興味深いです。(以後、『ミレニアル世代調査』と表記)
参考 子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究(2022年)公益財団法人 21世紀職業財団
マミートラックの具体例
実際には、どのような場面で、マミートラックを感じるのでしょうか。
ミレニアル世代調査では、マミートラックの実態に関するインタビューを行っています。
- 「お母さんてこういう働き方」というのが固定化されているので、それに当てはめられていると思う。主観としてそう思う。(出張や残業も)相談してくれたら、この時は母に頼むとかなるが、その前に聞かれない。(p144)
- 妊娠したのが入社数年目で、ローテーションから外れてしまった。妊娠出産して育休明けにある部に配属になったが、また妊娠したので、ずっとやりたいことができずに、この業界に入った意味あるのかな?と思いながら働いていた。〜中略〜その仕事をしていないのは同期で私だけ、というのがひっかかっていた。(p149)
- 前の職場は、男性もしくは独身フルフルで働いている人が配属されたが、私が異動になった部署は、配慮すべき事由がある人が集まる部署と自分には見えていたので自分もそうなってしまったのだな、と思った。異動先の部署は、時短でも働きやすいが物足りなかった。来ているだけで良いという期待されていない感じがした。同じ職場に戻さなかったのは、上の人の思い込みがあったと思う。忙しい職場だったが、今思うとやれる範囲でやらせてもらいたかった。(p156)
いずれのケースも、過度な配慮や思い込みにより、本人の希望が無視されてしまっています。
一方で、マミートラックは、必ずしもネガティブに捉えられる訳ではありません。
子供が生まれる前から、出産後は配偶者のキャリア形成を重視したいと考え、あえてマミートラックにいるとの声もあります。
- 家事と育児と仕事を両立するのは難しい。いまは子どもが大きくなり、少し手を離れることができてから仕事に専念することを考えている。(p158)
- 可能であれば夫の仕事を優先し、私はしばらく育児を優先したい。子どもたちが小学校に入る頃に徐々に仕事に力を入れていきたい。(p158)
マミートラックはいつまで続く?経験者の声を調査
ミレニアル調査では、マミートラック経験者のその後も調べています。
第一子出産後にマミートラックにいると回答した方は、末子が3歳以上になると「キャリアの展望が見えてきた」と答える割合が高くなりました(p139)
経験者は、マミートラックを感じた後、どのように過ごしたのか?
一例として、現在は大手企業の課長職として活躍する先輩ワーママに、マミートラックの経験を聞きました。
Kさん(3児の母:高1、中1、小2)
第一子の妊娠時は、本社の人事部にいて、俗にいう出世コース。
当時は残業も多く、ママ社員はゼロだったこともあり、上司の計らいで、育休明けには部署を異動しました。
異動先は、自宅から近い支店のサポート部門。(人事とは関係なし)
社内では、総合職は3〜4年おきの異動が通例ですが、ここには第二子・第三子の産育休含め、約8年所属しました。
在籍中に昇格試験を受ける機会は得たものの、業務の内容は8年間あまり変わらず、この期間がマミートラックだったかなと思います。
仕事にも飽きてきたところで、異動願いを出し、グループ会社へ出向。再び人事職へ。
縦割りだった本社と違って、採用・配置・育成・労務と全体を担い、業務の幅も広がりました。(但し、めちゃくちゃ多忙でした・・)
昨年、末子が小学校入学のタイミングで、管理職に昇進。出向先から戻り、支店の企画部門へ異動しました。
ここで、ママではない社員と同様のキャリアパスに戻り、マミートラックは抜け出したと感じています。
マミートラックの抜け出し方
ミレニアル調査では、マミートラックに関する先行研究も調査しています。
しかし、課題を指摘する内容は多いものの、そこから抜け出す方法を明らかにした研究は見当たらないそうです。
加えて、一度マミートラックに入ると抜け出すのは難しいという厳しい現状を指摘しています。
第一子出産後復帰した時に、「マミートラック」にいて、現在も「マミートラック」にいる女性は 7 割であり、一旦、「マミートラック」に入るとなかなかそこから脱出するのは容易ではないことがわかる。第一子出産後復帰した際、仕事の難易度や責任の度合い、キャリアの展望を低下・縮小させないための雇用管理上の工夫が、その後の女性のキャリア形成には極めて重要であると思われる。(p145)
では、そんな高いハードルを乗り越えた一部のワーママは、どうやってマミートラックを抜け出したのでしょうか?
同調査では、マミートラックを抜け出したという回答者にその理由を聞き、『上司の関わり』『働き方を変えること』『自分の家事・育児の負担を減らすこと』の3つに分けて分析しています。
上司の関わり
マミートラックを脱出できた理由の半数近く(46.6%※重複除く)は、「上司からの働きかけがあった」及び「上司に要望を伝えた」ことが要因でした。
これは、そもそもマミートラックに陥った原因として、上司側が配慮をし過ぎている、あるいは、本人は消極的になり過ぎている等、職場復帰時・復帰後のコミュニケーションが十分でなかったことが想定されますね。
働き方を変えること
同じく半数近い回答者(46.6%※重複除く)は、「定時退社だけでなく、必要な時には残業するようにした」及び「時短をやめて、フルタイムで働くようにした」ことを挙げました。
インタビューでは、コロナ禍で在宅勤務が進んだことで、通勤時間分を勤務に割り当てられるようになったというコメントもありました。
こちらは、難易度や責任の度合いが高い業務がフルタイム勤務者のみにしか割り当てられなかったり、全体の成果だけ見て細やかな評価(時間単位の生産性など)がされていなかったりと、会社側の姿勢に柔軟性がないことに原因があるように思います。
ちなみに、マミートラックと短時間勤務の関係ってあるの・・?と気になるところですが、同調査によると「短時間勤務制度利用の有無によるマミートラックの状況にあまり違いはない(p151)」そうです。
自分の家事・育児の負担を減らすこと
また、夫との分担見直し、または、親族・知人、外部サービスのサポートにより、自分の家事・育児の負担を減らすこと(26.2%)という回答もありました。
例えば、園へのお迎えを隔日で夫と分担し、残業ができる日を作ることで、難易度の高い仕事を振ってもらったなどのケースが想定できます。
その他
その他として、「自己啓発した」(13.6%)や「異動、社内公募、転職など、働く場を変えた」(7.8%)といった回答がありました。
マミートラックに陥りにくい会社の見極め方
一方で、マミートラックを事前に防ぐことはできるのでしょうか?
ここまでの調査結果を、逆の視点で見てみると、
- 働き方(勤務環境)に柔軟性がある
- 労働者と上司・会社が十分にコミュニケーションを取れる
といった環境では、マミートラックに陥りにくいと考えられます。
では、それらを見極めるための具体的なポイントを見ていきましょう。
勤務時間とフレックスタイム制度の有無
ワーママが最初にぶつかる壁ともいえる、長時間労働への対処。
子供の成長を考えると、生活リズムは非常に重要ですが、子供の生活時間を優先すると、親は1日8時間労働をこなすことが難しくなります。
深夜残業などは以ての外です。
そのため、勤務時間が何時から何時までか、また時間外業務の実態はどうなっているかは調べておく必要があります。
また、フレックスタイム制度のように、労働者側の裁量で勤務時間を調整できると、育児との両立の大きな助けになります。
リモートワークの実績
コロナ禍を経て、制度としては整ってきているリモートワーク。
ですが、利用に条件があったり、仕組みはあるけど利用しづらい文化があったり、とハードルがあるケースも未だ見聞きします。
そのため、リモートワークは、実績までしっかり確認することをお勧めします。
例えば、その回答が「部長も新人も、週の半分はリモートだよ〜」であれば、家庭の状況に合わせて働ける環境であることがわかります。
しかし、「ワーママさんが子供の発熱時だけ使ってるよ〜」だと、柔軟な働き方は進んでいないかもしれません。
(体調不良の子供を見ながらの在宅勤務がいかに難易度が高いか、理解がない人がいるかも疑った方がいいかも・・・)
キャリア面談の頻度
キャリア面談と言っても、大袈裟なものではなく、
- 現在の業務の進捗(できていること、できていないこと)
- 必要なサポートの有無
- 将来(1〜3年後)のキャリアについて
などが、定期的に話す場があると理想です。
機会が設定されていない場合は、「月次で1on1を実施したい」のように、上司へ自ら提案しても良いと思います。
人事異動の仕組み
とはいっても、先に挙げた勤務環境は、業務内容や上司の理解度による部分も大きいと考えられます。
そうした際に、人事異動も使える一手です。
どのタイミングで、誰の推薦・承認が必要か、など予め流れを知っておくと、自発的に動きやすくなります。
また、社内公募制度のように、労働者の希望を聞く仕組みも柔軟性があって良いですね。
まとめ
「マミートラック」は、ワーママのキャリアを考える中で、避けられない課題のひとつです。
個人的な話になりますが、私自身も6年前に日系の大手企業を「マミートラックに陥りたくない」という理由もあって退職・転職しました。
転職先では、柔軟な働き方(フレックスタイム制・在宅勤務)も、会社側との十分なコミュニケーション(四半期毎の1 on 1)のどちらも揃った環境でした。
ここで、希望するキャリアアップも果たせたことを思うと、成功だったかもしれません。
キャリアと向き合うワーママの皆さんが、納得のいく働き方を叶えられますように。
一緒に頑張りましょう!
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